母子の体と心もまるく、その秘訣は胎児から ②

Ⅱ.「みひかるサロン」開業と、都市部の子育て、母子が置かれた現状

公園で「なんで言うことを聞かないんだよ」と、4歳くらいの子どもの自転車を蹴り飛ばし、さらに倒れた子どものお腹を蹴り上げるお母さんの虐待を止めに入った経験があります。保健師としては働いたことがないのですが、「保健師だから話を聞くよ」と近づくと、意外にもそのお母さんは弱々しく、「いつもこうなってしまうんです」と泣いていました。

堪えきれず、その経験を夫に話すと、「それを救える立場にいるのだから何かしたら」と支援してくれ、フリーで5年間活動した後、みひかるサロンを立ち上げました。保育士さんをはじめ、数多くの講師の協力を得ながら、今年はもう13年目となりました。

私は幸いにも、自分自身の子育てでスリングを使い、授乳クッションにまるく寝かせ、らくちんな母乳育児ができ、たまたま出会ったベビーサインでさらに楽しく子育てができました。だとしたら、皆さんも少しの知識で子育ては変わるのではないかと考え、それらを教えることを軸として活動してきました。

しかし、開業から数年たった頃から、お座りの姿勢から倒れる、つかまり立ちから後ろに倒れる、ギャン泣きが止まらない、ずりばいが傾くなどの相談が年々増え、ベビー整体を習いたいと思い、渡部信子先生のセミナーに通いました。ところが、先生からは、「そういうのは胎児から始まっているんやで、妊婦を施術できるようにせなあかんわ」と喝を入れられたのです。

教室や講師業で忙しくしているうちに、トコちゃんベルトを忘れかけていた私は、39歳から、大人の体の勉強のやり直しを始めることとなりました。

体の見るべきポイントを習うと、都市部は電車移動がメインのためか、長時間の縦抱きでさらに体が凝って寝付けない赤ちゃんが目につきます。抱っこをすると背中が板のように固いのです。

しかし、約1万組の母子と触れ合い観察する中で言えることは、ママの背骨のカーブのなさと、赤ちゃんの反り返りはほぼ比例しています。縦抱きばかりが原因ではなく、背骨のカーブがない方の子宮は下がりやすく、下がった子宮の中では胎児の脊柱はCカーブを描けず、反り返らざるを得ないからです。

実は私も、そんなママの一人。娘は平らなところに置くときまって同じ方を向き、向き癖、斜頭の予備軍でした。よく泣くのでそのたびに母乳を飲ませ、着地できるように授乳クッションに寝かせていたら、1カ月で900gくらい増えればいいところ、1700gも増えていました。が、頭の形は守ることができました。

近年は、逆に母乳の分泌は良いのに、体重が増えない赤ちゃんもいます。有効に飲めていないことがうかがえます。だいたい、泣いてばかりでまとまって寝ないというお困りごとも共通しています。やはり「赤ちゃんの体重を増やすのは栄養だけでなく、睡眠も大事です。まっすぐな寝床では安眠できない」ということが広まるだけで、救われる母子が多いのではないかと考えています。

また、胎児期に顎を上げていたと思われる娘は、口をぽかんと開いていることも多かったのですが、授乳クッションに寝かせると口をかろうじて閉じていました。口を開けていると上顎から舌が外れ、幅が狭くなると言われています。私も主人も歯列矯正をしたのですが、子ども達はしないで済んでいるのは、育て方にもよるということを物語っていると思います。

娘の写真を見返すと、娘が3カ月で正しい寝返りではなく、反り返ってバタンと倒れるように回転する寝返りをしている写真があります。無知だった当時の私は「発達が早い!」と喜んだものです。胎児のお部屋が狭かったせいか首もすくんでいるのに、「海外のお洋服は首が狭いな」と洋服のせいにしたりしていました(笑)。その娘は5年生頃から肩コリを訴えるようになりました。

息子も首はすくんでいたのですが、なぜか縦抱きを嫌がる赤ちゃんだったので横抱きを多くしていたせいか、姉より断然姿勢がよく手先が器用です。