乳児期・学齢期の子どもの姿から、胎児期・乳児期にできることを考える①

1.発達障害・体幹の弱い子は増えている? その実態は?

私は子どもの発達を専門とする作業療法士として、1年前まで関西・関東・北陸の公的療育機関に勤務していた。どの施設でも、初診の予約を取るだけで半年~1年待ちは当たり前で、年々予約待ち期間が長くなっている。この状態だけを見ると、発達障害児が急増したように見える。

発達障害は自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害、その他これに類する脳機能の障害である。教師を対象にした過去の文部科学省の調査では、発達障害だと感じられる児童生徒は6.5%に上った。35人のクラスに2人ほどいることになる。しかし、保育や学校の現場では、それ以上に「育てにくい子ども」がいるという。

発達障害白書や児童精神科病院の統計を調べると、ある特徴が見られた。発達障害が急激に増加したとされる1990年代後半以降、増加のほとんどは自閉症スペクトラム障害である(図1)。それ以外の増加は見られない。

図1 発達障害(診断書有)学生数の推移
図1 発達障害(診断書有)学生数の推移(出典:独立行政法人日本学生支援機構「平成27年度(2015年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査」結果の概要について)

※1
ASD:自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(旧高機能自閉症等:高機能自閉症及びアスペルガー症候群)
ADHD:注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(旧注意欠如/多動性障害)
発達障害の重複:ASD、ADHD、SLDのいずれかが重複している者
SLD:限局性学習症/限局性学習障害(旧LD:学習障害)

この自閉症スペクトラム障害というのは診断が難しい。一方、保育士や教師に対しては、簡便な診断チェックリストなどの普及により、「育てにくい子ども」に対する気づきが増加している。また現代の社会的背景として、子どもは自ら「育つ」ものという感覚ではなく、大人が「育てる」もの、「個別に見て指導する」ものという感覚がある。

結局、急激に増加したと感じるようになったのは、発達障害のある子どもがゆっくりと増加したことに加え、取り巻く社会が変化し、急増したように見えるのであろう。

保護者や保育士、教師から寄せられる「育てにくい子ども」の様子は以下の通りである。落ち着きがない、姿勢を保つことができない、ぼーっとしていて話を聞いていない、手先が不器用、対人トラブル(力が強すぎる、叩く、蹴る)、コミュニケーションがうまく取れないなど、挙げればきりがない。彼らの体の問題を「体幹が弱い」と説明することが多いが、問題の原因は多様であり、「便宜上、体幹が弱いと表現しているだけでは?」との感は否めない。

図2 体幹の弱い子ども
図2 体幹の弱い子ども

今回は、そんな児を感覚統合の視点から分析し、何に躓いているのか、そして胎児期・乳児期にできることは何なのかを考えていきたい。