八戸市における“妊婦ロコモ”の実態と、私の取り組み①

Ⅰ. はじめに

青森県は短命県No.1。県は今「脱・短命県」を掲げ、取り組んでいるところだが、平成21年の「日曜日の運動習慣ランキング」では、中学生男子47位、女子は46位で、翌22年では最下位の47位。
平成21年の女子中学生肥満率は1 位である。

この調査結果から5年が経過し、その頃の中学生は17~20才となっている。それより年長の出産世代の女性も、全国でもワーストクラスの運動不足と肥満である可能性が高いと考えられる。そのためか、私が関わっている妊婦の身体や妊娠分娩経過も、全国ワーストクラスではないかと思うようになり、私見を述べることとした。

Ⅱ. 私が関わっている妊婦の身体的特徴

1.立位

爪先と膝は内側を向き、内股(坐骨間が広がり、骨盤底筋をしめられない)・膝は過伸展で、大転子が飛び出している。恥骨を突き出すので仙骨が下がっている(図1)。その姿勢では肋骨下縁も下がり、妊娠の初期から下腹が出る。中期・後期になると肋骨が直接子宮を押し下げる(図2)、診察時に腹部を見ると肋骨と子宮底の間に、深いしわがクッキリとできている。

図1 立位 腰椎前彎、あり・なし
図1 立位 腰椎前彎、あり・なし
図2 腰椎前彎の強弱と胎児の向き
図2 腰椎前彎の強弱と胎児の向き

 

腰椎に前彎がなく、あってもきれいなアーチを描かず、ほとんどは後彎しており、脊柱起立筋を触れず、腰椎の棘突起を触れる。教科書にあるように「腰椎前彎が強くなる」妊婦はいない。腰椎が前彎していないと、児は第1分類(児背が前)にならないことが多い。

「腰椎前彎が強い妊婦」が多かった頃は、仰臥位低血圧症候群を起こす妊婦が多かったが、最近の腰椎後彎の妊婦では、起こすことは少ない。

2.座位

床に座る場合、横座りや割座のように、股関節を内旋させながら坐骨より外に踵が位置するように座ると、坐骨結節が外に動く。割座は両方の坐骨、横座りは片方の坐骨を広げる。そのため、あぐら・正座が推奨されるが、骨盤が後ろに倒れ、仙骨が後傾し腰椎を後彎させて座っていては、骨盤に良い姿勢とは言えない。楽に腰椎前彎になれるように、お尻の下に10cmほどの高さの物を敷き、仙骨が床や座面に着かないように座るのを習慣にすることが大切である。

椅子に座る場合、背中と腰を丸め(腰椎後彎)、背もたれに寄りかからないと座っていられないので、仙骨に体重を乗せる「仙骨座り」になる(図3)。仙骨は座面で押され、仙骨尖部と尾骨は内側に入り込む。仙骨の上の部分は、後方に飛び出し、仰臥位になった時に当たって痛み、分娩時に仰臥位になれない産婦になる。

図3 良い座り方と仙骨座り
図3 良い座り方と仙骨座り

 

長時間の不良座位が引き起こす問題は、それだけではない。子宮が押し下げられていると、血管が圧迫され、下肢がむくみやすい。その理由は、脊柱に沿って流れている太い動脈と静脈が、外腸骨動脈と外腸骨静脈に分岐して、骨盤輪に沿ってそけい部に向かっているからである(図4)。

図4 骨盤・そけい部の血管の走行
図4 骨盤・そけい部の血管の走行

 

横座りなどで子宮から斜めに圧迫を受けていると、圧迫を受けた側の血流が悪化し、むくむ。スマホに夢中になっているときなど、数時間動かずに座っていると、血栓症にもなりかねない危険性がある。仙骨座りを改善するには、ロール状に丸めたバスタオルを腰部に当てて腰椎前彎を作る。