骨盤ケアで改善! PART2心寄せ合い安全な分娩を実現 ①

1.病院概要

当院は開業して5年が経過したばかりで、年間分娩件数360。医師は院長である女医1名で、全ての分娩と毎日80人を超える外来診察を担当している。助産師は非常勤を含め4名。看護師13名。超音波検査技師1名。

2.助産師外来の始まり

院長は一人で昼夜関係なく年間360 件の分娩に立ち会い、外来も毎日休むことなく続けていた。それは想像を絶する大変さであった。院長の状態を目にするたびに私は、私たち助産師ができることを積極的にやらなければ、そのうち院長が倒れ、閉院を余儀なくされるのではないかと危惧していた。

そこで、私は院長に助産師外来の開設を嘆願し、妊婦の保健指導を担当することができた。当然、外来中は院長との連携を保っている。また、経腹エコーは検査技師を専任とした結果、多くの情報を得ることができ(奇形異常等の発見率が著しく向上)、安心感のある精度の高い外来活動が実現した。助産師外来と経腹エコーの専任者の確立により、院長の負担を軽減することができただけでなく、妊婦と深く関わりを持つことができるようになり、当院への期待と満足が膨らんでいることも分かった。

良い分娩をするためには、健康な妊娠生活を送れる体作りが重要であり、それを実現するのは助産師の“充実した保健指導”に尽きると考えている。異常の早期発見や異常を引き起こさないために、状況をくまなく把握してケアにつなげて行くのは、私たち助産師の役割である。

3.骨盤ケアとの出会い

助産師外来を始めて感じたことは、妊婦の殆どが何かしらのマイナートラブルを抱えており、苦痛を訴えていた。その殆どが腰痛、便秘、頭痛であり、同時に骨盤位の増加もあった。これを改善すべく最良の手段はないかと調べていたところ、母子整体研究会代表・渡部信子先生考案の「トコちゃんベルト」が目に留まった。すぐに受講したセミナーの中身は、まさに「目から鱗」が盛りだくさんで、今でもその感動が私の原動力となっている。

早速、「トコちゃんベルト」を腰痛で苦しんでいる妊婦さんに装着してみると、先ほどまで歩くのがままならなかった人が、スタスタと軽快に歩き始めた。手軽にできる操体法とベルトを装着しただけである。これには私自身本当に驚き、感激した。また、骨盤位に対しては早期から妊婦の骨盤ケアをすることで、帝王切開を減らせたことにも手ごたえを感じた。

今までは、妊婦が腰痛などマイナートラブルを抱えるのは仕方がないことであり、耐えてもらうしかないものだと諦めていた。骨盤位も時期が来て改善しなければ帝王切開適応は仕方がないことだと思っていた。しかし実際はなすべき技術がすでに確立されていたのであった。私がただ無知であっただけである。勉強不足であった自身を猛省した。

4.正常をより正常にするために

ある時、分娩時に骨盤ケアを行った後、とてもスムーズに進行した分娩があった。その直後、院長は「こういうお産だったら何件あってもいいよね」と微笑んでいた。日々分娩と奮闘している院長である。助産師がいてもすべての分娩に立ち会うことを必定とされるだけに、スムーズなお産、つまり、分娩経過が早く、出血が最小限であったことが、院長に好意的に受け止めてもらえた理由であろう。院長自身の疲労も軽減できたであろう。しかも、お産は軽かったので産婦からも感謝された。まさに一石二鳥である。助産師が技を磨き、なせる技で正常をより正常に持って行く。これができたとき、至福の笑みがこぼれるのが助産師ではないだろうか?