骨盤ケアで改善! PART2心寄せ合い安全な分娩を実現 ②

5.一年前の私だったら帝王切開を・・・

休診日に前期破水入院、難しいお産になると直感。身長152 ㎝・体重61 ㎏・初妊初産・39 週2 日・羊水過少・推定体重2700g。入院時所見は、羊水混濁Ⅲb・ST floating・子宮口3 ㎝開大・eff30%・FHR 著変なし。

帝王切開適応と思い院長に状況報告をしたところ「児心音が大丈夫ならトライして欲しい」との指示。患者本人には緊急手術になる可能性もあることを説明し、同意を得た上で、早速陣痛促進剤の点滴を開始した。同時に骨盤ケアを実施した。すると、30 分後には児頭下降し、子宮口も7 ㎝開大。一度も児心拍数が下降することなく、その後2 時間で児娩出。児はとても元気で、産婦も疲労した様子はなかった。初産婦の通常の半分以下の分娩所要時間だったのだから、当然と言えば当然。羊水混濁が顕著であったにもかかわらず、正常分娩の経過をたどれたことに驚いた。

その分娩が終わった直後、私は「ハッ」とした。一年前の私、つまり骨盤ケアができない私だったら、陣痛促進剤の使用が定石と思い、ただ待つことしかできなかっただろう。
それは緊急帝王切開を高率で発生させる状況を、受け入れるしかなかったであろう。

分娩に骨盤ケアを積極的に導入することにより、緊急帝王切開の発生率を減らし、それが院長を含めスタッフの疲労を軽減することにもつながり、医療費削減にもつながる。私が骨盤ケアに出会い、それをお産に取り入れてからは、当院における緊急帝王切開率が半分以下に減少した。このことは院長をはじめスタッフ一同感激している。

6.大いなる喜びと感謝

当院で第一子を分娩し、産後の入院中に突然、腰痛と恥骨痛などの激しい痛みに襲われ、立つことも座ることもできずに、寝たきりの状態になってしまった褥婦がいた。院長はすぐに骨盤が原因であると判断したが、その頃院内では骨盤ケアを行っていなかったため、院長が懇意のカイロプラクターを呼んで療術を施してもらった。症状は若干改善されたものの、産褥5日の退院時も歩行は困難。その間の本人の苦痛は相当なものだったであろう。
それはまた、分娩に対して強い恐怖感を残すことになった。

その後、第二子を妊娠したため来院したが、前回の分娩がトラウマとなっていた。私は本人からその時の切実な話を聞き、妊娠初期から骨盤ケアをしていこうと決心した。妊娠期間中に幾度か骨盤ケアを施し、産直後も同じように骨盤ケアをした。すると、歩けなくなるどころか、腰痛自体が全く無くなってしまった。しかも、分娩も楽にできたことに本人は大変驚き、大喜びされた。そして、私たちスタッフに深い感謝の言葉を伝えてくださった。それは私たちにとっても大いなる喜びと感謝であった。

7.育てやすい子を生み育てるために

(有)青葉が作成配布した「育てやすい赤ちゃんを産み育てるためには」のポスターを待合室に掲示したことがきっかけで、妊婦自身が胎内の赤ちゃんの様子に関心を持つようになり「どうなっていますか?」と、エコー検査中に医師や検査技師に尋ねるようになってきている。医師からは内診エコーでGS の形状が丸くないときに、検査技師からは経腹エコーで胎勢が良くないときに、すぐにコメントをもらう。反屈位や膝関節伸展などの状態が発見されるとすぐに、簡単にできる操体法を実施し、改善に向かうように指導している。
得られた情報を確実にケアにつなげて行くには、職種間の連絡を密にすることが大事ある。

8.心を寄せ合い理想の分娩へ

医師からの信頼を得て、妊産婦との信頼の絆を築くには、助産師自身が持っている技術を向上させ、提供しなければ始まらないと考える。母子医療危機が叫ばれる中、正常な妊娠分娩のための援助ができるよう、助産師自らが向上心を持つことが何よりも重要である。
私はその第一歩として、まず、この骨盤ケアを充実させていきたい。それにより、多くの妊婦が健全で安全な妊娠分娩経過をたどり、健康な児を生み育てることができると考える。

それには、医師と助産師が共通の認識と理想のもとに心を寄せ合い、一体となることが不可欠である。それができて初めて可能になり、さらに、育児へ、次の妊娠へと、プラスの連鎖への布石になると私は確信している。