骨盤ケアで改善! PART2妊娠初期からの骨盤ケアの実際 ①

1.トコちゃんベルトとの出会い

私は助産師になって7年目に縁あってお茶処である静岡県の袋井市に嫁いだ。助産院で働きたかった私は、2005年9月から3年間、40キロ離れた藤枝第一助産院でお世話になった。就職当時スタッフは、飯塚まさ子院長と、私ともう一人の助産師。その前年に院長が母子整体研究会の研修を受け、骨盤ケアを導入した。院長が主に妊婦健診、助産師二人で産後のケアを担当。健診時に恥骨痛や腰痛を訴えた妊婦に、院長は骨盤輪固定の必要性を説明し、私ともう一人の助産師がトコちゃんベルトの着用方法を指導することになったが、私は扱ったことがなく、見よう見真似で指導していた。

2.妊娠初期からの骨盤ケアの導入

着用指導をしていると「痛みが取れて楽になりました」という声を多く聞いた。けれど、中には「よくわかりません。ベルトはいりません」と言われる方もいた。お腹の形を見て、こちらとしてはベルトをした方がいいと思っても、妊婦が不要だと思う時は、妊婦の意見を尊重し経過を見ていたが、結局「腰痛がひどくなってきたので、ベルトをしたい」という経過をたどる傾向にあった。着用位置が微妙に違うのだろうか?など自分の技術不足を感じていた矢先、院長が「トコちゃんベルトは腰痛予防だけでなく、逆子や回旋異常の予防にもなるらしいから、みんなで勉強しよう」と提案。2006 年7月、全員で母子整体研究会の研修を受けることになった。

研修は4日間朝から晩までみっちり。三十代半ばの私は付いていくのがやっとだったが、充実した内容で学びはとても多く、助産技術の可能性の広がりに期待が膨らんだ。研修の中で、骨盤ケアは骨盤輪固定法だけではなく、身体のゆがみに応じて、操体法などによるセルフケアや、テイクケアがあることを学んだ。

また、骨盤の緩みは妊娠と同時に始まると知り驚いた。妊娠期のマイナートラブルを予防するためには、妊娠初期から骨盤ケアをすべきであり、今までのように痛みが生じてからでは遅いということがわかった。

早速、妊娠初期から骨盤ケアを勧めることに決まった。とはいうものの、妊娠初期には何の症状もない人が多く「腰痛も恥骨痛もないのに果たして受け入れてもらえるのだろうか?」「骨盤ケアを押し付けられていると取られないだろうか?」と一抹の不安はあった。
それでも妊娠初期から骨盤ケアは必要なんだと真摯な気持ちで伝えれば、きっとわかってもらえるとの思いで、とにかく始めてみた。ところが妊婦の反応は「私達が予想していた不安は何だったの?」と思えるほどだった。

3.不定愁訴が減った

藤枝第一助産院で2008年の7月から11月までに20名の同意が得られた妊婦に対してアンケートを実施した。まず、頻尿・便秘・下腹部の違和感といった不定愁訴が消失し、妊婦から「妊娠期が快適に過ごせる」「骨盤ケアをしてもらえてよかった」という反響が返ってきた。通常これらの泌尿器系などの症状を妊婦が訴えても「仕方ないわね。そのうち良くなるわよ」と受け流したり、「辛いわね」と共感するにとどまることが多いのではないだろうか? 実際、骨盤ケアを行うまでは、教科書的な方法以外の対応ができなかった。

けれど、妊婦にとってはこれらの症状は重大な問題。仕事中や外出中、トイレが始終気になる。食事内容を改善したり、水分をたくさん摂取したり、腹部マッサージをしても便秘が解消されず、何となく下腹部が張った感じで不快感がある。便秘かお腹が張っているのかわからず不安。赤ちゃんを授かったことは嬉しいけど、妊娠を後悔した気持ちになることも。また、妊娠期はたくさん散歩をするようにと指導されるが「トイレが気になるので長時間の散歩は無理です」「お腹が張っているのかと気になって…お散歩できませんでした」といった具合である。通常の日常生活もままならないのに、散歩は無理である。

4.散歩できる身体作り

妊娠中はよく身体を動かし、体力や筋力をつけるために散歩や妊婦体操をすることは昔から良いとされているが、現代人の身体は予想以上に緩みゆがんでおり、スタスタ歩くことさえできない妊婦が多い。

ところが、骨盤ケアをすることでこれらの症状が消失し、トイレを気にしなくても良くなり、十分に散歩をすることが可能になった。妊娠初期から骨盤ケアをしたことで、妊娠早期より日常生活が快適に、活発に過ごすことができるのみならず、不定愁訴が消失し、マイナートラブルが予防でき、妊娠を前向きにとらえ、自分の身体能力に自信をつけることにもつながった。