当院における双胎妊婦への骨盤ケアの取り組みと、宮崎県における骨盤ケアの現状 ④

医師が妊婦に骨盤ケア指導を受けるように勧めるかについては、<勧めないが禁止もしない>という施設が12施設、<症状の強い人にのみ>という施設が6施設、<勧めない・禁止する>という施設が2施設あった。医師が看護スタッフに骨盤ケアを学び、実施するように勧めるかという問いに対しては、<勧めないが禁止もしない>が18施設で最も多かった。しかし、<熱心に勧める>が5施設で、<勧めない・禁止する>の3施設より多かったことに時代の変化を感じる。

図13:医師が妊婦に骨盤ケア指導を受けるように勧めるか
図13:医師が妊婦に骨盤ケア指導を受けるように勧めるか
図14:医師が看護スタッフに骨盤ケアを実施するように勧めるか
図14:医師が看護スタッフに骨盤ケアを実施するように勧めるか

 

この医師との関わりは非常に施設内では難しいところであり、医師との協働という立場で、看護の視点から腰痛や切迫流早産を考えサポートしていく工夫として話を進めていかなくては「エビデンスの無いことは取り入れられない」と突き放される場合も経験上少なくない。実際私が母子整体研究会の入門セミナー講習会に参加した後、妊婦が健診時に恥骨部痛や腰痛で産婦人科医師に相談し、整形外科を紹介され受診して「骨には異常ありません」といわれ、再び産婦人科に来られ、湿布薬を処方されても症状緩和できなかった方を「助産師と相談しましょう」と別室に呼び込み、ベルトの紹介や、体操などを勧め、自分の骨盤ベルトを貸し出すことからはじめていった。

あれほど痛みを訴え、足を引きずり歩く患者がスタスタと歩いて帰るのを何度も医師の側でやって見せることからはじめて約2年してから、医師から「何をしたらあんなに歩いて帰られるのか?」と声をかけられた。 「チャンス!」と考え看護の視点から、今の若い人の骨格が変化してきていることなど助産師としての見解を話し、骨盤輪を支えることの必要性を伝えたところ、医師から「腰痛がある妊婦がいるけど、相談に乗ってくれ」という連絡が整形外科受診前に入るように変化している。

私は日本助産師会宮崎県支部に所属しており、地域の助産師さんたちと関わる機会も多く、ちょうど母子整体研究会の入門セミナー講習会を受けてきた後、助産師会での話し合いに参加したところ、同じセミナーに参加した助産師と知り合いになったこともあり、骨盤ケアの普及とまではいきませんが、お互いに意見を交換するうちに他の助産師が興味を持ち、ホームページから検索したり、セミナーに参加が始まったりと、じわじわ普及が始まってきた。

今では「いいお産の日」のイベントにて骨盤ベルトのブースを立ち上げ一般の妊婦さんへ紹介したり、2月26日には宮崎県の北部の産科に携わっている方たちの勉強会に呼ばれ、微力ながら当院のスタッフとともに骨盤ケアの実際をお話し、実演するという活動に広がりつつある。

「いいお産の日」のイベント広告

Ⅳ.まとめ

双胎妊婦への骨盤輪支持の調査によって、私たちが日ごろ切迫早産予防に役立っていると感じていることが、ある程度裏付けられたと思う。骨盤輪支持は双胎妊婦に限らずどの妊婦にも必要であり、初期の妊婦健診の段階からの保健指導が必要であると考える。それを実践するためには、スタッフの指導力の向上も必要である。そのため、骨盤ケアの研修に参加したスタッフを中心に、スタッフ間の知識を深め、骨盤ケアの指導法の統一が必要である。医師との協働の中、母親となる現代の若い女性の身体をより理解し、看護力を高めていくという点で、骨盤ケアの充実は必要なことではないかと考える。

今回の宮崎県内の分娩取扱い施設に対するアンケートにより、回収率は高くはなかったが、宮崎県での現状を少しではあるが知ることができた。また、アンケートを行うこと自体が骨盤ケアの普及に役立ったのではと思う。宮崎県で今以上に助産師の力を強くするためにも微力ながら今の活動を続けていきたい。