骨盤ケアで改善! PART6切迫早産妊婦に対する骨盤輪支持の有効性の検討 ①

Ⅰ.はじめに

現在、出産適齢期にある女性の多くは、車の普及による歩行の減少や家事の省力化などで生活習慣が変化している。そのため、骨盤を支える靭帯や筋肉が細く弱くなり、骨盤が緩んでいる傾向にある。その結果、自律神経機能や血流量の低下を招き、冷える体質をつくり、子宮収縮を増強させ、切迫早産を誘発すると考えられている。

当院は奈良県北部における中核病院であり、周産期母子医療センターを有している。産科単科、病床数は26床である。2010(平成22)年度の病床利用率は85.7%、分娩件数は539件、うち帝王切開179件(予定96件、緊急83件)、帝王切開率33%である。母体搬送受け入れ61件となっている。

2003(平成15)年より、褥婦の腰痛対策として骨盤輪支持を導入したところ、大きな効果を感じ、妊婦のケアとしても導入を開始した。妊産婦に骨盤輪支持を行うと、腰痛などのマイナートラブルの解消のみならず、切迫早産妊婦の妊娠継続のケアとして効果を感じた。そこで骨盤輪支持の有効性に着目し、2005(平成17)年から切迫早産の看護として骨盤輪支持を開始した。同じレベルで骨盤輪支持を行えるように、同年12月に全スタッフ対象に最初の勉強会を開催し、全スタッフが受講するまで学習会を繰り返し行った。そして、ケアの標準化(チェックリストによる知識、技術の統一)を図った上で、切迫早産妊婦に対して看護ケアとして骨盤輪支持を提供した。現在も新規採用者が入職するたびに、学習会を継続的に行っている。

今回、切迫早産妊婦に骨盤輪支持を導入した前後の入院中の安静度、治療内容、子宮頸管長(以下頸管長)の変化や妊娠継続期間の差異などについて調査し、骨盤輪支持の有効性を検討した。その結果、切迫早産の妊婦の看護に有効であったので報告する。

Ⅱ.研究目的

切迫早産妊婦に骨盤輪支持を導入した前後の入院中の安静度、治療内容、頸管長の変化や妊娠継続期間の差異などついて調査し、骨盤輪支持の有効性を比較検討する。

Ⅲ.研究方法

1.研究期間と対象

骨盤輪支持導入前(以下A群):2002(平成14)年11月~2003(平成15)年10月に切迫早産のために入院した妊婦60名。骨盤輪支持導入後(以下B群):2008(平成20)年11月~2009(平成21)年3月に切迫早産のために入院した妊婦20名。
常位胎盤早期剥離、前期破水、妊娠高血圧症候群、子宮内胎児発育不全、死産は対象から除外した。

2.調査項目

助産録および診療録より、初産婦・経産婦、年齢、妊娠歴、入院時の妊娠週数、分娩時の妊娠週数、安静度の変化、塩酸リトドリン点滴および硫酸マグネシウム点滴の使用状況を調査した。

3.検定方法

Unpaired t-test、χ2検定、Fisherの直接確率法を用いて、両群の比較検討を行い、p<0.05を有意差ありとした。

4.倫理的配慮

対象者に研究趣旨、研究協力の任意性などを説明し同意を得た。個人が特定できないよう統計処理した。

5.用語の定義

骨盤ケア:ゆがみ変形した骨盤や筋肉・靭帯のアンバランスの調整、下垂した臓器の復元、緩みすぎた骨盤輪を支持すること。

骨盤輪支持:骨盤輪の周囲をベルトやさらしなどのアイテムを用いて心地良い強さで支持すること。支持位置の詳細は図1に示すように、上前腸骨棘下縁と大転子の間。アイテムで恥骨の上縁を覆い、臀部ではアイテムを上下にずらしてみて、快適と感じる位置。

図1:骨盤輪支持の適切な位置
図1:骨盤輪支持の適切な位置

 

安静度:表1に示す内容のこと。

表1:安静度表
表1:安静度表