数々の不定愁訴を乗り越え地域のママへの“伝え人” に変わった私― 助産師のひと言が私と子どもの人生を変えた ⑪

Ⅸ.おわりに

私が今回伝えたいことは2つ
①“体質” と見過ごされることの改善が、健全な妊娠出産、健康な人生には不可欠である。
② 助産師をはじめ医療者のひと言の価値は偉大である。

妊娠とは、命を育む行為である。新しい命を育むためには、ほんの小さな“ヒト” としての形状不安も大きな障害になるのではないだろうか。現代西洋医学では対処されない範囲への警鐘は、一体誰が鳴らせばいいのだろうか。

「自宅で生まれ、自宅で死ぬ」がスタンダードだった以前と違い、現代のヒトは、「生まれるときも死ぬときも病院」である。何かあれば、医療者に聞くというのが常識となっている。自分以上に自分のことが分かるのが医療。果たしてそうだろうか。今、治療が必要と見出さなければ、体は十分に健康、この先も心配ないのか。“体質” と言われるような不調こそ、妊娠中には対処しなければいけない項目である。

そんな女性の心に踏み込めるのは、やはり助産師さんしかいないと思う。実際、少しでも病院でトコちゃんベルトの話を聞いたという人は、すんなり取り組めることが多い。逆に、ウエストニッパーを病院で着けるようにと言われた産婦は、何度私が順序立ててお話ししてもピンとは来ない。

現在、助産師・看護師・理学療法士などが約10名来室されていて、真摯に姿勢改善に取り組まれる傾向にある。だが、自身は効果を実感しているのに、「スタッフや患者さんに伝えるのは気が引ける」とか、中には「病院では言い出せないから、辞めて開業しようかと悩んでいる」と言われる方も。開業は歓迎だが、一方で残念にも感じる。産院で出産した母親達は生まれたての雛鳥と同じ。出産直後にどんな情報に触れるかで、その後の人生が変わる。「縦抱きが良い」と産院で指導された方々は、何度言ってもそれを止めることは難しい。人生は、誰に出会うか。どんな言葉をもらうかによって変わる。

人の人生や考えを変えることは容易ではなく、1人の力で全ての人々をフォローしきることも不可能。「こうしなさい」と言えば責任が生じるが、その方法を選ぶかどうかは相手次第。「私はこれが良かったよ」というひと言が広がれば、大きなムーブメントになると思う。

トコちゃんベルトが開発された24年前と比べて、脆弱化している現代女性には、「妊娠前・妊娠中からのケア」「乳児期のまるまる育児」の実践が必要と感じる。“健康で元気な子を世に送り出したい” という思いが同じであるのならば、今こそ多様な職業の方が協力すべきではないだろうか。病院には病院でしかできない関わり方があり、開業助産師も同様。一母としての私には私にしかできないことがあり、それが使命であるという自負のもと、母から母へ子育ての知識を口承している。

これからも私は、自身の経験をもっと伝えていく活動を中心に行いたいと思っている。自分の資格範囲を越えず、リラクゼーションと並行して、主体性を取り戻す心のケアを主眼に、骨盤ケアの知識や整体的な技術を用いていきたい。

それからすでに声の上がっている妊娠中のケアやまるまる育児の良さを実感し、伝えたいという仲間を増やしたい。片道2時間かけてわざわざ埼玉や神奈川・千葉県の遠方より来室される現状、私では対処できないケースが多い。ご協力いただける資格者とも手を取り合うネットワークを作りたい。それぞれが職業の範囲を越えて何かをやろうとするのではなく、もっと協力し合い連携していけば、1人ではできないことができるのではないだろうか。

「何かがおかしい」という心の声に耳を塞がせるのではなく、答えられる機関や場を作りたい。1か所が拠り所となるのではなく、骨盤ケアやまるまる育児を通して“地域社会” 全体での子育てを実現したい。現状は、日本の医療も企業も母子の“姿勢” についてのアプローチは皆無だ。だからこそ、民衆のニーズを高めて、社会を動かしていかねばならない。それは、1人の口コミから始まる。

この私の話を知った方は、ぜひ、知り合いの方に伝えてあげていただきたい。「“姿勢” って大事だよ」と。

 

参考文献